整備業支援に経営基盤強化策盛り込む
国土交通省の来年度事業で明らかに
国内の自動車保有数は8,200万台となり、改めて国民生活、経済活動を支える強い基盤となっている。だが、クルマ社会を維持していくためには、安全・安心を補完する自動車整備業の事業を強化することが喫緊の課題となっている。
そこで、国土交通省は、来年度事業で新たに経営強化策となる生産性向上のための事業支援策を計画している。具体的には、来年度から省力化や情報化投資で成功している整備工場事例を調べるほか、地域の工場間で技術、設備等を連携活用するなど事例の成功要因を調べ、ガイドラインなどにまとめたり、あるいは制度改正にも反映させる計画としています。
たとえば、スキャンツールや自動ブレーキ用整備機器など高額で個々の事業者がすべて保有するには経営リスクが高い設備機器も、将来は共有を認めるなども想定、認証要件に加える意向もあるとしています。
現在、国内整備業は、事業場数で7万4千件、工場数で9万2千件だが、ほぼ8割が従業員10人以下の中小・零細。急激な技術革新、利用の多様化などに、投資、人材確保、育成が追い付いていない。そこで、整備業の企業体力を強化することで、整備基盤を強化しようと計画しているものである。
タイヤ脱落事故防止で注意喚起
11月14日自動車局整備課長通達
国土交通省は、頻発する車輪脱落事故を防止する為11月14日付で「ホイール・ボルト折損等による大型自動車等の車輪脱落事故防止について」と題する通達を発令した。発令先は、ユーザー団体(トラック協会、バス協会)と、点検整備を実施する事業者団体(日整連、タイヤ商工組合)向けに、参加事業者への周知徹底を依頼したものである。
車輪脱落事故は、平成23年度の11件を底にほぼ毎年増加して、28年度には5倍の56件も発生している。事故原因は、作業ミスが最も多く82%、経年劣化だろうと推測されているのが11%と続いている。作業ミスは、ホイールナットの締め忘れまたは締め付けトルク管理不足、ハブと密着しない取り付け。また、経年劣化は、ボルト穴の変形・亀裂、発錆、ねじ山のつぶれなど。脱着作業の実施者では、大型車ユーザー46%、タイヤ業者36%、整備業者16%であり、扱いなれた事業者の油断が小さくないことを示している。
整備工場・板金塗装工場元気通信
千葉県に15店舗のガソリンスタンドを持つ千葉石油(安藤順夫社長)は、創業100年という県内の有名企業である。早くから油外収益を追求し、車検、洗車、レンタカー、クルマ販売でも先進的な取り組みと成果を積み上げてきている。
そんな同社が持つ車検整備を集中的に扱う「車検センター」は県内に2か所あり、年間3,500台をこなしている。その一つが「アリオ前車検センター」で、全国FCのホリデー車検に加盟、年間1,500台の受注実績を上げている。そこでホリデーから「福祉車両」の整備・車検を進められたことがきっかけとなり、2年前から取り組みを開始した。専門知識を獲得するに従い、信用度も増し、いまでは数少ない福祉車両の整備技術を持つ専門工場と認知され、安定的な収益源に成長している。
こうした実績を会社でも認め、近いうちに福祉車両の専門部を立ち上げ、装備、技術、交換部品など充実させて、より多くの福祉施設への働き掛けを行う計画である。(月刊せいび界より転載)