自動運転車の装備が分解整備に
整備工場でも自主的準備求められる
国土交通省は、自動運転車の走行が数年後に迫る中で、主要な電子制御装置、判断機能装置、あるいはカメラやレーダーなどの技術基準を、現行の保安基準に組み込む必要があるとして、近く専門委員会を立ち上げる準備に入っている。自動運転車については、政府方針で2020年には乗用車が高速道路で「レベル3」の自動運転、限定地域では「レベル4」の無人自動運転を実現させる目標を打ち出している。
当然、自動運転車にはカメラやレーダーなどの「センサー機能」に加えて、各種の情報を判断する電子制御装置や人工知能による「判断機能」、ブレーキやハンドル、エンジン制御などの「操作機能」が装着される。ところが、現行の保安基準の規定に入っていないため、分解整備を許されている整備工場でなくとも、取り付け、取り外し、機能検査や整備が行われるため、継続的な安全性が損なわれる問題を有している。そこで、分解整備の範囲に加えるための技術基準を早期に策定、関係法令の改正につなげる計画である。
そこで、整備工場でも情報収集、整備技術の習得、装備投資など必要になるため、早めに備えることが求められてくるだろう。
電動車販売台数が前年同期比割れ
上期の登録乗用車3社の不振響く
2018年度上期(4~9月)の登録乗用車の販売台数は、トヨタ、ホンダ、スバル3社の不振が原因で、年同期比2.3%減の135万8,575台にとどまった。なかでも、HV、PHV、EV、燃料電池自動車(FCV)の電動車は、15年からの統計開始以来上期としては初めて前年を下回って、53万2,628台で、登録乗用車に占める電動車の販売比率も0.1ポイント減の39.2%であった。
また、HVの販売で日産がホンダを抜いて2位、輸入車もメルセデスを中心に健闘、PHVでは三菱がマイナーチェンジした「アウトランダーPHEV」が台数を伸ばしている。
【2018年度上期(4-9月)登録乗用車の燃料別新車販売台数】 | |||||||||
ガソリン | 前年同期比 | HV | 前年同期比 | PHV | 前年同期比 | ディーゼル | 前年同期比 | ||
トヨタ | 345,173 | -1.9% | 281,756 | -6.2% | 5,756 | -64.1% | 5,473 | 88.8% | |
ホンダ | 77,643 | -11.2% | 87,346 | -5.4% | 269 | ||||
日産 | 55,662 | -10.2% | 92,752 | 6.3% | |||||
マツダ | 37,735 | -9.0% | 265 | -8.6% | 36,848 | 32.1% | |||
スバル | 51,842 | -24.4% | 2,651 | 4,640.4% | |||||
スズキ | 22,616 | 53.6% | 39,814 | 9.6% | |||||
三菱自動車 | 7,595 | 137.2% | 2,767 | -20.2% | 3,024 | 31.0% | 5,594 | 1.6% | |
ダイハツ | 16,679 | 7.4% | 94 | -6.0% | |||||
輸入車 | 126,522 | 2.0% | 2,762 | 680.2% | 1,654 | -26.4% | 34,830 | 6.9% | |
乗用車計 | 741,467 | -3.5% | 510,207 | -2.0% | 10,703 | -48.0% | 82,745 | 20.1% | |
構成比 | 54.6% | -0.7 | 37.6% | 0.1 | 0.8% | -0.7 | 6.1% | 1.1 | |
EV | 前年同期比 | FCV | 前年同期比 | その他 | 前年同期比 | 合計 | 前年同期比 | ||
トヨタ | 356 | 27.1% | 1,612 | -72.7% | 640,126 | -5.5% | |||
ホンダ | 9 | -71.0% | 165,267 | -8.1% | |||||
日産 | 11,017 | 152.4% | 36 | -76.8% | 159,467 | 3.7% | |||
マツダ | 87 | -27.5% | 74,935 | 7.4% | |||||
スバル | 54,493 | -20.6% | |||||||
スズキ | 62,430 | 22.3% | |||||||
三菱自動車 | 23 | 19,003 | 31.2% | ||||||
ダイハツ | 16,773 | 7.3% | |||||||
輸入車 | 313 | -31.4% | 166,081 | 4.0% | |||||
乗用車計 | 11,353 | 135.5% | 365 | 17.4% | 1,735 | -71.9% | 1,358,575 | -2.3% | |
構成比 | 0.8% | 0.5 | 0.03% | 0.004 | 0.1% | -0.3 |
整備工場・板金塗装工場元気通信
コバック加盟で一挙に車検増
車販売で蓄積した信用が花開く
今年8月に「車検のコバック」店に加盟した熊本県玉名市の株式会社プロスパー(本多好男代表取締役)の変貌ぶりが関係者の間で注目されている。同社は、創業以来36年間車両販売をメインに企業基盤をつくり、地域に強い信用を築きあげている。その結果、整備工場というより、車両販売の専門店イメージが社内、社外ともに定着、1年間の車検台数が400台と、企業規模にそぐわない実績だったという。
こうした状況に危機意識を持った常務取締役本多将士氏(社長の子息)が、後継者として腹を決める過程で「コバックに加盟することで新しい基盤を構築したいと思い、それを社長と話し合って決めた」という。加盟の話が出てから、ほぼ3年の月日が流れている。
こうしたトップ陣の苦悶を見てきた社員にも、こうした空気は伝搬して、コバックの仕組みを導入して1ヶ月の入庫促進キャンペーンで、見積もり件数379件、車検予約件数353件と、1年間の車検台数を僅か1ヶ月で受注する成果につなげている。それでも社長、常務ともにあくまで謙虚である。「今年の車検は1,200台」と浮かれることなく、着実な成長軌道を描いている。
(月刊せいび界10月号より転載)